Fumiya Tanaka

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フロアーにレコードが選ばれる

March 31, 2016

フロアーにレコードが選ばれる、とはプレイ中に次にかかるレコードが自然に選ばれる、そのチョイスが迷いなく続いていく状態のことをいいます。
何もないところから段々とひとつの流れみたいなものが自然に出来上がっていく、その波のようなものを捕まえ乗る状態そのものがフロアーにレコードが選ばれる状態であるといえます。

言葉にするのはとても難しいのですが、DJプレイとはある程度の時間をかけて出来上がっていくもので、それはフロアーにいる人達そこに存在する全てのものとの共同作業でもあるといえます。
自分の存在などどうでもよくなり、忘れ、ただ浮かび上がってくる最善のレコードをチョイスし続ける。
そのレコードに導かれ、繰り返す時間と共に連続して起きていく現象がそれであり、その一部として即興選択に没頭するのです。
現象というとオカルトを想像しますが、決してオカルトなんかではなく、これは音楽を媒介にした即興集団アートです。

最善のレコードが何なのか、フロアにレコードが選ばれるとは何なのか。
自分でも正直よくわかっていません。

レコードが自然に湧き上がる状況が浮かび上がるのには時間が必要だし、今何が起きていてどんな音がなっているのか理解する力、またそこにコミットするための発想と構想が鍵になります。
特にプレイ序盤の的確な選曲、大胆な組み立てが重要で、その日のプレイをどこまで充実させられるかは序盤で決まってしまうと言っても言い過ぎではありません。
序盤の充実が中盤の広がりに繋がるし、中盤の充実が、多種多彩な終盤の選択を担保できる。
その指針となるヒントはフロアのあちこちにあり、それら全てを漠然と捉え、自分のアイデアとマッチングさせ浮かび上がってきたレコードこそ次にかかるべきレコード、最善のレコード、フロアーに選ばれたレコードだと思うのです。